げんこつ団『ボリショイ・ライフ』(2015/11/04~08 下北沢駅前劇場)

げんこつ団『ボリショイ・ライフ』
期間:2015/11/04日(水)~11/08(日)
会場:駅前劇場(下北沢)
出演:植木早苗、春原久子、河野美菜、池田玲子(10・Quatre)、望月文、川端さくら(乙女装置)、久保田琴乃、山口奈緒、杉森多恵子(オフィスチャープ)、三明真実(アリエス)、鷹羽彩花(オフィスチャープ)
演出:一十口裏、植木早苗

スイートポップキャンディのすばるちゃんのお友達の三明真実(みはるまさみ)さんが出演する『ボリショイ・ライフ』を観に、下北沢の駅前劇場に行ってきました。





年1回、この時期に駅前劇場で公演を行っている、げんこつ団を観るのは、昨年(2014年)に引き続き、今回が2回目。前回の『つぶつぶ』では、
・数分間のコラージュのような場面が立て続けて展開され
・しかもそれがブラックな笑いを含んでいて
・さらに役者たちが何役も違う役をしているので誰がどの役のどの場面に出ているのか見失う、
という、なんとも不思議な体験をさせてもらいました。

今回もきっと同じような展開の芝居なのだろうと予想し、三明真実さんを見失わないように舞台全体を俯瞰できる舞台から離れた後ろの方の席を確保。

今回の『ボリショイ・ライフ』は、『つぶつぶ』に比べると、ブラックな笑いと言うよりは、シュールな笑いの要素が多かったように感じました。前回は、笑っちゃいけないかもしれないけどつい笑ってしまう、ような要素が多かったのですが、今回は、ここ笑うところなのかな、と戸惑うことが多く、ちょっとついていけない感じがしました。

芝居にテーマとかを求めるのは野暮なのかもしれないけれども、この芝居は、『「意味のない数字」「意味のないものごと」に踊らされるひとたち』を描いたもののように感じました。そして、誰もがこの社会がより良いものになることを願っているかもしれないけれども、その理想が実現した社会というものは一体なんなのか、を考えさせるものでもありました。
例えば、「ボリショイ」という言葉から、私は旧ソ連を連想してしまいますが、共産主義というのもある意味、理想の社会を創ろうとした思想だったのかもしれません。でも、それは上手くいかなかった。それが非人間的でダメなものであったことは歴史が証明してしまった。
私は、社会をよくしていこう、という運動は、決して無駄なものではないと思います。ただ、それが度を過ぎてしまえば、それは非人間的なものになりかねない。みんなが同じであれば良い、という考え方も、この芝居の最後に破たんします。みんながちょっとづつ違うからこそ、それぞれの想いというものがぶつかりあっているからこそ、この社会はバランス良く成り立っているんだよな、とこの芝居を観ておもいました。


さて、三明真実さんである。彼女の「変幻自在」ぶりは、こういう芝居にこそ生きるのかもしれません。芝居をみていて、男のひとの声や仕草を作るのに苦心しているように思われる女優さんもいる中で、そういうジェンダーの壁を、三明真実さんはするっとすり抜けていくような印象がありました。
本当に、このひとは正体をつかませない役者さんです。 


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