アリエスプロデュース公演『東京未来予想』(2015-09-17-20 中野ザ・ポケット)

アリエスプロデュース公演『東京未来予想』
期間:2015/09/17日(木)~09/20(日)
会場:ザ・ポケット(中野)
出演:※Bキャスト
≪ZACカンパニーメンバー≫杉浦友哉、鈴木信二、大蔵愛、中塚智実、馬庭良介、橋本雄大、花房岳考
≪保護施設の若者≫小城祐介、木村耕二、森川まゆり、前中りょう、中野麻里奈、滝田りょう、村田りりこ、庭山美保、吉川政博
≪政府側≫宮崎緑、渋谷将、杉山健一、福元茜、三明真実、林芳弥、塗塀一海、森本優介、お宮の松
演出:古川千恵子


アリエスプロデュース第1回公演『東京未来予想』を観に、中野ザ・ポケットに。A・Bの2パターンのキャストでの公演ですが、スイートポップキャンディのすばるちゃんのお友達(←お約束)の三明真実さんが出演するBキャストの公演を観て来ました。





舞台は2025年の東京。国家の財政が破たんしたため、国民が海外に流出、国体が弱体化した隙に近隣諸国から蹂躙されてしまった日本。その状況を打破するために大統領制が布かれ、初代大統領の宗方はその高い支持率を武器に権力を掌握、軍備を強化、独裁を強めていった。
子供は国の宝。30歳以下の若者を守る法律「若年者保護法」が施行され、若者たちの健康保全・管理という名目のもと政府の監視化に置かれ、宗方の兵隊となるべく準備を進められていく。


芝居などの文化は、私は最後の自由の砦であると、私は思う。権力に親しければ、芝居や歌や文学などは権力のプロパガンダと化す。なので、芝居や歌や文学などは権力と親しくしてはいけない。そして、それらはしばし反権力となる。しかし、それもまた反権力のプロパガンダと化す恐れを孕んでいる。権力との距離感、そのバランス感覚を持つことが芝居や歌や文学に試される。その試練は、こういう時期だからこそ、これからなおさら厳しいものになっていくはずだ。

なので、奇しくも安全保障関連法案が成立した、まさにその時期に上演されたこの作品だが、私は敢えてその文脈でこの作品を語らない。(語ろうと思えばいくらでも語れるけど、敢えてそれをしない。)


私がこの芝居で一番の場面だと感じたのは、精神の自由を取り戻した保護施設の若者たちが躍り出す場面だ。これまで普通の(どこにもいそうな)若者たちが、隠していた爪をさらけ出す。希望というのはある種の可能性だと思うのだが、その可能性の発芽をいきなり見せつけられた画面だった。やられた。

役者さんの中では結衣役の中塚智実さん。かなりのツンデレぶりに萌えました。この方は元AKB48で、AKB48卒業後は芝居を中心に活動しているようです。AKB48ってすそ野が広いなあ、と感じます。人気投票で上位でない娘も、実は歌が上手かったり、芝居ができたりする娘はたくさんいるんじゃないか。それは競争があるからだろうけど、同時に人気投票というシステムが多くの才能が発芽するのを妨げているんじゃないか。AKB48を入口に芸能活動を始めて、才能のある娘はむしろAKB48をさっさと卒業して活動する方が良いんじゃないか。などと、アキバに行かない私は余計なことを想ったりもしました。


さて、三明真実さんである。今回の役は初代大統領の宗方。三明さんがこれまで演じてきた中で、おそらく偉い役であろう。三明さんは、声色を変えたり声量の強弱をつけることで役を作り、感情を表現していくタイプの役者だと私は感じているのだけれど、「この道しかない」と自信に満ち溢れている大統領の姿、そして「この道しかない」という自信が脆くも崩れ去っていく大統領の姿を見事に演じている。
ベルリンの防空壕に立てこもって押し寄せるソ連軍の見えない姿に怯えていたかの独裁者も、あのように狂いながら最期を迎えたのではないか。そんなことを連想させるような芝居だった。


劇中で使われていた、あの大統領の肖像写真、ほしいなあ。部屋に飾って一日一回、敬礼したい(←ある意味、恐い)。

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