げんこつ団「ダイヤのモンド」(2020/11/07 下北沢駅前劇場)

げんこつ団「ダイヤのモンド」
期間;2020/11/04(水)~11/08(日)
会場:下北沢駅前劇場
演出:一十口 裏、植木 早苗
出演:植木早苗、春原久子、河野美菜、池田玲子、三明真実、丹野薫、秋月三佳、藤岡悠芙子、シゲキマナミ

1年に1回のお楽しみ。げんこつ団の芝居を観ると秋が終わるな、冬が来るな、と感じます。今年は新型コロナウィルスの感染が広がり、やるかやらないか、のところからのスタートだったようですが、幕が開いて良かった。


今回のタイトルは「ダイヤのモンド」→ダイヤ(菱形)のモンド(世界)。新型コロナのせいですっかり歪んでしまった世界を、そこは流石にげんこつ団ですからシュールでブラックでナンセンスに描きます。

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なぜ千代田区から文京区に跨って巨人が立っているのか、そして人々がなぜその巨人の中に住んでいるのか、なぜ東京都が産湯につかっているのか、等々、考えても考えてもわからない。そもそもナンセンス喜劇というものはそういう設定自体がナンセンスでわからないものなので、「わからないけどそういうものだ」を前提に芝居を観るしかない。

新しい生活様式と言いながら、誰もが同じことを言い、同じように振る舞うようになった。これもある意味、ウィルスに感染した状態、と言えるかもしれない。そして人は人をOA機器のように働かせ、そしてそうやって人をOA機器のように働かせる人も結局は墓場を引きずって生きている(レガシーというものを残そうとする)人の人柱にされる。スキルのないものはデジタルサイネージになるしかなく、ゆえに稼ぎも少なく貧困から抜け出せない。

そこにいるのは同じように振る舞う、個性のない人たちなのだけれど、しかしげんこつ団が演じると何とも個性的に映る。なんとも不思議なことよ。

大爆笑が起こるような芝居ではない。でもクスっと笑いを誘われる。しかもお客さんによってそのクスリとなるポイントが異なるのが面白い。私はいつも芝居は後方の席から観たいのだけれど、お客さんのそういう反応を観るのも楽しい。ちなみに私は「食べたがられているパン」のくだりでクスクスクスクス笑い続けていた。

今回がげんこつ団50回目の本公演だったそうだ。私は2016年から5年連続で参戦しているが、冒頭からラストまで1つのスジの通った芝居になっているのは珍しい。しかし通しで観ても、なぜ和子さんが自分を廃棄してもらいたがっているのかは、ちっともわからなかった。
ひとつわかったのは、粗大ごみを出す時は、粗大ごみ処理券がないと引き取ってもらえない、ということだった。

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